上人橋通りの夜を灯す――「光」がつなぐ歴史への敬意と、街の安心安全
朝を迎えるまでの観察から見えてきた、上人橋通りの「時間」
「tonoクリスタル上人橋」の建設にあたり、私はこの場所の前に幾度となく立ち尽くしました。昼から夜へ、そして時には朝を迎えるまで、刻一刻と移り変わる街の表情を日夜観察し続けたのです。
深夜から早朝に至るまでじっくりと時間の流れを見つめていると、そこには様々な発見がありました。時間ごとに変化する人と車の流れ、そして何よりも、この通りの由来である「香正寺様」が放つ圧倒的な存在感。昼の威厳ある佇まい、そして夜の幻想的な美しさに深く魅了されると同時に、私の中に一つの強い問いが生まれました。
「新しく生まれるこのビルは、どうすれば香正寺様に寄り添い、この歴史ある通りに調和できるだろうか」
その答えが、「光」と「照明」による演出でした。
街の安全と美しさを守る人々への感謝、そして私たちができること
また、静まり返る夜の通りを静かに見守り続けている中で、深く印象に残った光景があります。それは、深夜から明け方にかけて、幾度となくパトカーが巡回し、時には職務質問を行うなどして、街の平穏を徹底して守ってくださっている警察官の方々の姿でした。そこには、厳しくも市民を守る優しさに溢れたお仕事ぶりがあり、深い安心感を覚えました。
そしてもう一つ、福岡市ならではの光景にも胸を打たれました。それは深夜に行われる「夜間のごみ収集」です。昼間の渋滞を招かず、早朝のカラスによるごみの散らかりも防ぐという非常に画期的な仕組みですが、その裏には、誰もが眠りにつく時間帯に黙々と作業にあたる収集員の皆様の大変なご苦労が隠されています。
日夜、私たちが安心して暮らし、美しい街並みの中でビジネスを営むことができるのは、こうした方々の存在があるからに他なりません。街の安全を支えてくださる警察官の皆様、そして夜の美化を支えてくださる収集員の皆様に、この場をお借りして心から深く感謝を申し上げます。
だからこそ、民間企業である私たちも、ただ建物を建てるだけでなく、この街の安心・安全や美しさに少しでも貢献したいと考えました。どうすれば、通りを美しく演出すると同時に、夜間も誰もが安心して歩ける場所にできるだろうか。その想いが、今回のライティング計画の大きな原動力となりました。
建築と自然、そして歴史へのリスペクトを表現するライトアップ
単に暗い場所を明るくするだけではなく、通り全体の美しさを引き出し、防犯性を高める。そのために私たちは「夜の上人橋通りを彩る光の計画」を練り上げました。
まず、最上階の木目調のひさしを美しくライトアップする演出を取り入れました。これは、真向かいにある香正寺様の格式高い御門へのリスペクトの表現です。モダンなビルと歴史ある御門が、夜の闇の中で光を通じて対話し、通り全体に一体感のある美しい景観を創り出します。

さらに足元では、美しい枝垂れ桜と建物を下から見上げるように照らすアッパーライトを施しました。四季折々の自然の美しさと建築のディテールが光の陰影によって艶やかに浮かび上がり、夜の暗がりを優しく照らしながら、通りを行き交う人々の目を楽しませています。
光がもたらす癒やしと、医学的なウェルビーイング
このライトアップには、景観美や防犯性だけでなく、街を行き交う人々の「心」をケアするという役割もあります。近年では、光が人間に与える「医学的な効果」にも注目が集まっています。
人間の脳や身体は、光の明るさや色(色温度)によって自律神経が変化します。日中の明るい光は活動性を高める一方、夜間に優しく灯る暖色系の光は、脳に安心感を与え、副交感神経を優位にしてストレスを軽減させる効果(リラクゼーション効果)があることが医学的にも証明されています。
深夜まで働く方や、夜の上人橋通りを通る人々が、私たちのビルの暖かな光に触れたとき、どこかホッとするような心地よさを感じる。それは、計算された優しい光が心身を癒やしているからに他なりません。
「tonoクリスタル上人橋」の光は、単なる自己主張ではありません。香正寺様への敬意を胸に、そして街の安全と美しさを守る皆様への感謝を忘れずに。これからも人々の心と安全を優しく照らす灯りとして、上人橋通りと共に温かい未来を歩んでまいります。